日本のササゲ / Japanese sasage / red cowpea

🇯🇵 日本語名: ササゲ(日本で伝統的に利用される赤色系)
🇬🇧 英語名: Japanese sasage / Japanese red cowpea
🔬 学名: Vigna unguiculata (L.) Walp.
🌿 科名: マメ科(Fabaceae)
その他の広く使われている名称・表記: 大角豆(ささげ)、豇豆(ささげ)、地域によっては「ささぎ」とも呼ばれる。

この食材が特に重要な位置を占める食文化・食習慣: 日本、特に関東地方。赤色系のササゲは、祝い事の赤飯に伝統的に使用されてきた。また、東北地方や沖縄にも独自の在来型が存在する。

本記事で扱う「日本のササゲ」は、主として日本で伝統的に利用されてきた、赤色または赤褐色の小粒の乾燥Cowpeaを指す。

日本では「ササゲ」という名称が、植物学的にはVigna unguiculata全体を指す場合もある。一方、日本豆類協会によると、日本国内で生産されるCowpeaのほとんどは赤色系であり、一般に食用の「ささげ」として流通・認識されるものは、小粒のタイプが中心である。

その他のCowpeaの品種(総合カード)

日本のササゲは、ほかのCowpeaと同じVigna unguiculataに属するが、日本の食文化では、完熟した乾燥種子を利用する独自の伝統が形成されてきた。
赤色系の種子は見た目が小豆に似ているが、両者は別の植物である。ササゲの種臍は一般に楕円形で、その周囲を濃色の縁取りが囲むのに対し、小豆の種臍はより細長く、比較的まっすぐな形をしている。日本豆類協会も、この違いを赤色系のササゲと小豆を見分ける分かりやすい特徴のひとつとして紹介している。
日本には大粒系と小粒系のササゲが存在するが、一般に食用の「ササゲ」として認識されるものは、主として小粒の乾燥豆である。

この記事は現在、一部未完成のため、内容を随時追加・更新しています。

Vigna unguiculataという種そのものは、アフリカ原産である。

ササゲは中国を経由して日本に伝わったとされ、日本では非常に古くから栽培されてきた。日本豆類協会によると、平安時代にはすでに大角豆の名で記録されている。そのため、日本のササゲは近代になって導入された食材ではなく、日本の食文化の中で長い歴史を持つ豆類である。

大角豆という名称は、種子がやや角ばった形をしていることに由来するとされる。

「ササゲ」という呼び名の由来には複数の説がある。ひとつは、細長い莢の形を小さな牙になぞらえ、細々牙という表現から生まれたとする説である。

もうひとつは、若い莢が上向きに伸びる姿が、何かを差し出すように見えることから、捧げるに由来したとする説である。

日本豆類協会では、これら両方の説を名称の由来として紹介している。

栽培地域と流通

日本では、ササゲは伝統的に関東地方以南の比較的温暖な地域を中心に栽培されてきた。

1950年代頃までは国内生産が現在より広く行われていたが、その後は生産量が減少している。現在の日本市場では、国内産に加えて、中国やタイなどから輸入されたCowpeaも流通している。

日本豆類協会によると、日本国内で生産されるササゲは、赤色系の種子が中心である。

日本のササゲが独自の食文化的な位置を持つ最大の理由は、祝い事に食べる赤飯との強い結びつきにある。

小豆とササゲは見た目がよく似ており、どちらも煮汁で米を赤く色づけることができる。しかし、ササゲは小豆に比べて種皮が丈夫で、加熱しても割れにくいという特徴がある。

農林水産省では、関東地方でササゲが好まれるようになった理由について、歴史的な象徴性と結びつけて紹介している。小豆の皮が割れる様子は**「腹が割れる」ことを連想させ、さらに切腹**を想起させるため、武家社会では縁起がよくないと考えられた。そのため、祝いの席で食べる赤飯には、より皮が破れにくいササゲが好まれたという説である。

この話は、関東地方におけるササゲと赤飯の結びつきを説明する伝統的な由来のひとつとして伝えられている。

文部科学省も技術的な違いとして、浸水や加熱の際に、ササゲは小豆より胴切れ、つまり豆の胴部分が割れる現象が起こりにくいことを示している。

このように、赤飯にササゲが選ばれてきた背景には、加熱に強く形を保ちやすいという調理上の利点と、祝いの料理にふさわしいとされた文化的な象徴性の両方がある。

関東地方では、赤飯に小豆ではなくササゲを使う習慣が特に強く定着している。

調理では、まずササゲを別に茹でる。赤褐色になった煮汁は捨てずに残し、もち米を浸したり湿らせたりするために使うことで、米に特徴的な淡い赤色をつける。

その後、ササゲともち米を合わせ、伝統的には蒸して仕上げる。

代表的な料理

赤飯(セキハン、Sekihan、Japanese Red Rice)
もち米と赤色系の豆を使った、日本の代表的な祝い料理。

日本では小豆とササゲの両方が使われるが、関東地方の伝統では特にササゲがよく用いられる。種皮が丈夫で加熱しても割れにくく、さらに煮汁で米を美しく赤く染められることが、その理由のひとつである。

赤飯は、結婚、出産、誕生日、各種の祝い事、季節の行事など、伝統的にハレの日と深く結びついている。

ただし、ササゲが日本全国の赤飯に必須というわけではない。他地域では小豆を使う場合が多く、北海道のように独自の赤飯文化を形成している地域もある。

埼玉県では、ササゲは赤飯を使った非常に特徴的な郷土料理にも利用されている。

いがまんじゅう(イガマンジュウ、Iga manju、Red Rice-Coated Steamed Bun)
埼玉県北東部、特に鴻巣、加須、羽生、行田周辺で伝統的に作られてきた郷土料理。

小豆餡を包んだ甘いまんじゅうの表面を赤飯で覆い、蒸して仕上げる。農林水産省が紹介する公式レシピでは、この赤飯にささげが使われている。

ひとつの料理の中で、よく似た2種類の豆が異なる役割を持つ点も特徴的である。小豆は甘い餡に、ササゲは外側を覆う赤飯に使われる。

いがまんじゅうは、もともと祭りや祝い事などの機会に作られてきた料理で、現在でも地域の和菓子店や専門店などで販売されている。

秋田県には、てんこ小豆 / 黒ささげと呼ばれる特徴的な地域型のCowpeaがある。

名称には「小豆」と含まれているが、農林水産省ではてんこ小豆を黒色系のササゲとして扱っている。

郷土料理

てんこ小豆の赤飯(テンコアズキノセキハン、Tenko-azuki no sekihan、Sekihan with Black Sasage)
秋田県のにかほ地域、横手・平鹿地域、湯沢・雄勝地域などで伝統的に作られてきた赤飯。

黒色系のササゲは、種皮が比較的丈夫で形を保ちやすく、さらに米を濃い赤紫色に染めることができるため、この料理に用いられている。

一般的な赤飯とは異なり、秋田のてんこ小豆の赤飯には砂糖を加える場合があるのも特徴のひとつである。

てんこ小豆は、日本のササゲ文化の中で独自に発達した地域型のひとつといえる。

沖縄では、黒小豆と呼ばれる豆が栽培されている。

名称をそのまま読むと「black adzuki」、つまり黒い小豆を意味するが、日本豆類協会は興味深い植物学上の違いを指摘している。

この黒小豆は、名称に「小豆」と含まれているにもかかわらず、実際には本来の小豆である Vigna angularis ではなく、黒色系のササゲ、すなわち Vigna unguiculata に属する。

日本の伝統的な豆の名称が、必ずしも現代の植物学的分類と一致するとは限らないことを示す、分かりやすい例である。

乾燥した日本のササゲは、比較的穏やかでクセの少ない豆らしい風味を持つ。

この豆の大きな特徴は、味の強さそのものよりも種皮の丈夫さにある。十分に加熱すると内部は柔らかくなる一方、皮は比較的形を保ちやすく、煮崩れしにくい。

この割れにくさが、祝い料理である赤飯に伝統的に使われてきた理由のひとつである。

また、赤色系のササゲは加熱すると色のついた煮汁が出る。この煮汁は、もち米に赤飯特有の色をつけるために伝統的に利用される。

赤色系のササゲと小豆は、見た目が非常によく似ているため、混同されやすい。

どちらも小粒の赤褐色の種子を持つが、種臍の形を見ると違いが分かりやすい。

小豆は、種臍が細長く、比較的まっすぐな形をしている。

一方、ササゲは、種臍がより丸みのある楕円形で、周囲に濃い色の縁取りが見られることが多い。

また、ササゲの種子は、小豆と比べると全体的にやや角ばって見える傾向がある。

加熱後は違いがさらに分かりやすくなる。小豆は種皮が割れやすいのに対し、ササゲは比較的皮が丈夫で、豆の形を保ちやすい。

乾燥したササゲは、調理前に異物や傷んだ豆を取り除き、よく洗う。

赤飯に使う場合は、一般的な豆のように長時間煮込むのではなく、独特の下ごしらえを行う。

まずササゲだけを別に茹で、必要な程度まで柔らかくする。この段階では完全に煮崩れるまで加熱しない。後で、もち米と一緒にさらに加熱するためである。

赤く色づいた煮汁は捨てず、もち米に色をつけるために利用する。その後、ササゲともち米を合わせて仕上げる。

この方法によって、豆の形をきれいに保ちながら、赤飯らしい特徴的な色合いを出すことができる。

文部科学省の食品成分データベースには、完熟した乾燥ササゲ(Vigna unguiculata)について個別の成分値が掲載されている。

乾燥種子100gあたり、おおよそ以下の栄養成分を含む。

エネルギー 280 kcal、たんぱく質 23.9 g、脂質 2.0 g、炭水化物 55.0 g、食物繊維 18.4 g。

また、乾燥ササゲにはカリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、葉酸なども含まれている。文部科学省のデータでは、乾燥種子100gあたり鉄約5.6 mg、亜鉛約4.9 mg、葉酸約300 μgが示されている。

加熱すると多量の水分を吸収し、日本豆類協会では、茹でた後の重量は乾燥時のおよそ**230%**になるとしている。

ほかの完熟乾燥豆類と同様に、ササゲは密閉容器に入れ、湿気や高温、貯蔵害虫を避けて、乾燥した涼しい場所で保存する。

古くなった豆は柔らかくなるまでに時間がかかりやすい。そのため、豆の内部を十分に柔らかくしながら種皮をきれいに保つことが重要な赤飯には、比較的新しい収穫年のササゲを使う方が適している。

「ササゲ」という名称は、現代の植物分類学が成立するはるか以前から日本で使われていた。平安時代にはすでに、ササゲが大角豆の名で記録されている。

日本のササゲにまつわる最も有名な話のひとつが、武家社会と赤飯の関係である。伝統的な説明では、小豆の皮が煮崩れて割れる様子が「腹が割れる」ことを連想させ、さらに切腹を思わせるため、関東地方では祝いの赤飯に、より皮が丈夫で割れにくいササゲが好まれたとされる。農林水産省と日本豆類協会はいずれも、この説を習慣の由来として紹介している。

大角豆という表記は、文字どおり「大きな小豆」という意味ではない。名称は、ササゲの種子が小豆よりやや角ばった形をしていることと関係するとされ、古い表記そのものが両者を見分ける手がかりにもなっている。

秋田県では、黒色系のササゲであるてんこ小豆が祝い事だけでなく、弔事にも使われる地域がある。長寿を全うした人の葬儀では、てんこ小豆を使った黒飯を供する習慣があり、長い人生を終えたことを特別な節目として受け止める地域文化と結びついている。

沖縄にも興味深い例がある。地域で黒小豆と呼ばれる豆は、その名称から黒い小豆のように見えるが、植物学的には小豆ではなく、黒色系のササゲに属する。

また、日本国内におけるササゲの生産は1950年代以降大きく減少した。非常に古い日本の食文化と結びついた食材である一方、現在の流通は国内産だけではなく、中国やタイなどからの輸入によっても支えられている。