
🇯🇵 日本語: ピントビーンズ、ピント豆
日本での関連名称: うずら豆
🇬🇧 English: Pinto bean
🔬 学名: Phaseolus vulgaris L.
🌿 科名: Fabaceae
🌍 Spanish: frijol pinto
Pinto Bean は単一の植物学的品種ではなく、Phaseolus vulgaris に属する斑入りの乾燥豆をまとめた market class、すなわち商品・育種上の分類群である。
このクラスには、共通する特徴をもつ多数の個別栽培品種が含まれる。
• 中粒
• 楕円形
• 淡いベージュ色またはクリームがかった褐色を基調とする種皮
• 多数の赤褐色または濃褐色の斑点や筋模様
• 加熱後は内部がやわらかく、クリーミーな食感になる
加熱すると特徴的な斑紋は大部分が目立たなくなり、種皮はより均一なピンク褐色または褐色になる。
Pinto は、米国で最も広く栽培されている商業用乾燥豆の market class であり、特に以下の地域・料理で重要である。
• メキシコ北部
• 米国南西部
• Tex-Mex
この記事は現在、一部未完成のため、内容を随時追加・更新しています。
英語での基本名称:
• Pinto bean
pinto という名称は、スペイン語で「斑のある」「彩色された」という意味の語に由来する。
同じ語は斑模様の馬の毛色にも使われるが、豆が馬にちなんで名付けられたというより、豆と pinto horse の双方がそれぞれ斑模様の外観に由来してこの名称をもつと考える方が適切である。
painted bean や mottled bean といった名称が説明的な呼称として使われることもあるが、Pinto という market class を示す正式名称としては同等の精度をもたない。
日本語名称
日本では、輸入された米国産の商品に以下の名称が使われる。
• ピントビーンズ
• ピント豆
• うずら豆
日本の小売店でも、輸入 pinto が以下のように表示されることがある。
• ピントビーンズ(うずら豆)
• うずら豆(ピントビーンズ)
ただし、日本語の うずら豆 は伝統的により広い意味をもち、米国の Pinto market class の厳密な植物学的同義語ではない。
日本のうずら類
日本の分類には、斑紋をもつ インゲンマメ の独自グループとして うずら類 が存在する。
このグループには、淡褐色の地色に赤紫色の模様をもつ種子が特徴的である。
日本の品種には以下がある。
• 福うずら
• 福粒中長
歴史的には、ほかにもさまざまな うずら系品種 が栽培されてきた。
福うずら は Phaseolus vulgaris に属する独立した日本の栽培品種で、2002年に登録された。種皮については、褐色の地色に濃赤紫色の 普通斑・うずら斑 をもつことが公式に記載されている。
したがって、日本の うずら豆 と米国の pinto beans は外観や調理特性が近いものの、個々の日本品種を自動的に米国の Pinto market class とみなすべきではない。
Phaseolus vulgaris はアメリカ大陸を起源とする。
栽培化の過程で、2つの主要な遺伝子プールが形成された。
• Middle American
• Andean
これらはアメリカ大陸の異なる地域で、それぞれ独立して栽培化された。
Pinto Bean は主に以下に属する。
• Middle American gene pool
• race Durango
race Durango は、メキシコ北部および中部の高地で、比較的乾燥した地域に形成された。
同じ広義の遺伝的グループには、以下の北米の market classes も含まれる。
• Great Northern
• Pink
• Small Red の一部
一方、大粒の kidney beans は主にアンデス系遺伝子プールおよび race Nueva Granada と関連する。
そのため、日常的な分類だけを根拠に Pinto を Red Kidney の直接的な近縁タイプとして説明するのは正確ではない。
現代の Pinto market class は、Phaseolus vulgaris 自体の古代の栽培化よりはるか後に、多数の地域在来型の選抜とその後の育種によって形成された。
Pinto Bean は、米国で生産量が最も多い商業用乾燥豆の market class である。
主な生産地域は、主として米国中部および西部に位置する。
重要な生産州:
• ノースダコタ州
• ネブラスカ州
• ミネソタ州
• コロラド州
• アイダホ州
• ワシントン州
特に重要なのが ノースダコタ州 である。
USDA NASS の2025年データによると、米国の Pinto Beans 生産量は約:
• 960万 cwt
これはおよそ:
• 43.5万 t
そのうちノースダコタ州の生産量は約:
• 648万 cwt
つまり、2025年に記録された米国の Pinto 生産量の約3分の2を、ノースダコタ州だけで占めたことになる。
メキシコ
Pinto は、メキシコでも重要な商業用豆タイプの一つである。
特に北部で広く消費されている。
メキシコには多数の品種があり、以下のようなものがある。
• Pinto Saltillo
• Pinto Villa
• Pinto Centauro
• Pinto Centenario
• Pinto Libertad
• Pinto Bayacora
• その他の地域系統および育成系統
メキシコでは、豆の嗜好に強い地域差がある。
北部諸州では pinto の利用が特に多い一方、中央部や南部の多くの地域では、以下の豆がより重要である。
• 黒豆
• bayo
• Flor de Mayo
• Flor de Junio
• その他の地域グループ
成熟した乾燥種子は、一般に中粒である。
形状:
• 楕円形
• 丸みのある楕円形
• やや細長い形
種皮の基本色:
• クリーム色
• ベージュ色
• 淡褐色
模様:
• 赤褐色の斑点
• 褐色の筋模様
• 不均一な大理石状の斑紋
模様は種子表面の広い範囲を覆う。
加熱後:
• 斑紋が大幅に目立たなくなる
• 色がより均一になる
• 種皮が褐色またはピンク褐色を帯びる
現代品種では、保存中に種皮がどの程度速く濃色化するかが重要な商品特性の一つとなっている。
以下のタイプがある。
• regular-darkening cultivars
• slow-darkening cultivars
Slow-darkening 品種は、収穫後および保存中も明るく見栄えのよい種皮色をより長く維持する。
Pinto Bean と日本のうずら豆
米国の Pinto と日本の うずら豆 グループは、斑模様の外観がよく似ているが、それぞれ異なる地域で形成された商品・育種上のグループである。
米国の Pinto:
• 主に race Durango
• 中粒
• ベージュから褐色の斑模様
• 主な用途は塩味の料理
日本の うずら類:
• 独自の日本品種を含む
• 比較的大粒の種子をもつものが多い
• 淡褐色の地色に赤紫色の模様が典型的
• 伝統的に煮豆、甘納豆などの甘味用途に使われる
そのため、うずら豆 という名称は、流通上 pinto を分かりやすく示す日本語表記として使用できるが、日本のすべてのうずら豆が米国の Pinto market class と完全に同一であることを意味しない。
Carioca Bean と混同しない
ブラジルの feijão carioca は、外観が pinto によく似ている。
• 淡い地色
• 褐色の縞模様や斑点
しかし、これは Phaseolus vulgaris に属する別の商品グループである。
Carioca:
• 一般に pinto より小粒
• 独立したブラジルの commercial group
• 主に race Mesoamerica に属する
• 20世紀にブラジルで形成された
元となった Carioca 系統は、1960年代にサンパウロ州で発見され、1960年代末に正式に農業生産へ導入された。
名称はリオデジャネイロ市に直接由来するものではない。
歴史資料では、種子の模様に似た毛色をもつ carioca と呼ばれる地域の斑模様の豚との関連が示されている。
現在、Carioca はブラジルで最も重要な商品タイプの豆であり、国内消費の半分以上を占める。
したがって:
• Pinto ≠ Carioca
• 似た色や模様をもつことは、同じ market class であることを意味しない
加熱した Pinto Bean は、しっかりしたコクをもちながらも強すぎない味わいである。
主な特徴:
• はっきりした豆の風味
• 土のようなニュアンス
• ほのかな自然な甘み
• 穏やかなナッツのような風味
加熱後の内部は、以下のような食感になる。
• やわらかい
• クリーミー
• やや粉質
丁寧に煮れば、種子は形を保つ。
より長時間加熱すると崩れやすくなり、濃厚でクリーミーなペースト状になる。
この性質は、特に以下の料理に適している。
• frijoles refritos
• 豆のピューレ
• 濃厚なスープ
• ソース
• 長時間煮込む料理
Frijoles de la olla
メキシコで最も基本的な豆の調理法の一つである。
乾燥豆を水でゆっくりとやわらかくなるまで煮、場合によって以下を加える。
• 玉ねぎ
• にんにく
• epazote
• 塩
• その他の地域的な調味料
Pinto は、特にメキシコ北部でこの調理法に広く使われている。
ただし、frijoles de la olla は調理法の名称であり、pinto のみに限定された料理ではない。地域によって、その土地で一般的な豆が使われる。
Frijoles refritos
Pinto は、メキシコ北部および Tex-Mex の frijoles refritos で代表的に使われる豆の一つである。
加熱した豆は以下のように調理する。
• つぶす
• 脂とともに炒める、または再加熱する
• 好みの濃度になるまで豆の煮汁を少しずつ加える
伝統的には以下を使うことがある。
• ラード
• 植物油
• bacon drippings
• 玉ねぎ
• にんにく
• chili
ただし、pinto だけが frijoles refritos に使われるわけではない。
メキシコ南部や沿岸部では、以下も広く使われる。
• 黒豆
Frijoles charros
Pinto は、メキシコ北部および Tex-Mex の frijoles charros で特に典型的に使われる豆の一つである。
以下のような材料とともに煮込む。
• ベーコン
• chorizo
• 玉ねぎ
• にんにく
• トマト
• chili
• cilantro
具体的な材料構成は、地域や家庭によって異なる。
Borracho beans
Frijoles borrachos は frijoles charros に近い料理で、煮汁の一部をアルコール飲料に置き換える。
最も一般的なのは以下である。
• ビール
Pinto は、メキシコ北部やテキサスのバリエーションで特によく使われる。
Chili
Pinto は、さまざまな米国式 chili や豆入り chili に広く使われる。
ただし、すべての chili con carne に必須の材料とみなすことはできない。
特に伝統的な Texas-style chili では、豆をまったく使わない場合もある。
その他の用途
Pinto は以下にも使われる。
• burritos
• tacos
• tostadas
• スープ
• 煮込み料理
• 豆のディップ
• 米料理
• サラダ
• 缶詰製品
日本での利用
日本では、伝統的な うずら豆 グループは、メキシコや米国における pinto とはまったく異なる調理文化をもつ。
主な日本での利用法:
• 煮豆
• 甘煮
• 甘納豆
• 餡
• 甘味料理
日本豆類協会では、うずら豆を甘い 煮豆 に利用されるインゲンマメ類の一つとして明確に分類している。
日本では、乾燥豆を砂糖とともにやわらかく煮て甘く仕上げる調理法が広くみられる。
この違いは非常に対照的である。
• メキシコおよび米国南西部:塩味、香辛料、脂を使う料理が中心
• 日本:甘い煮豆や菓子用途が中心
ただし、この対比は主に日本の うずら類 に関するものであり、日本の伝統料理で歴史的に米国の Pinto market class そのものが使われてきたことを意味するものではない。
乾燥 pinto は、事前に浸水すると均一に加熱しやすくなる。
基本的な手順:
• 選別する
• 洗う
• 浸水する
• 浸水した水を捨てる
• 新しい水を加える
• 沸騰させる
• 完全にやわらかくなるまで煮る
推奨される浸水時間:
• 6~12時間
浸水後の一般的な加熱時間の目安:
• 約90~120分
実際の加熱時間は、以下の条件によって異なる。
• 品種
• 種子の古さ
• 保存条件
• 水の硬度
• 希望する食感
Pinto は事前に浸水せずに調理することもできるが、通常はかなり長い加熱時間を必要とする。
Frijoles refritos 用
豆は非常にやわらかくなるまで煮る。
豆の煮汁は一部を残しておくとよい。
豆をつぶしてさらに加熱する際に、煮汁を少しずつ戻して加える。
煮汁に含まれるでんぷんや可溶性成分によって、大量の脂を加えなくてもクリーミーな仕上がりにできる。
USDA の成熟乾燥種子のデータによると、生の Pinto Bean 100 gあたりのおおよその栄養価は以下の通り。
• エネルギー:347 kcal
• たんぱく質:21.42 g
• 脂質:1.23 g
• 炭水化物:62.55 g
• 食物繊維:15.5 g
• でんぷん:34.17 g
• 水分:11.33 g
ミネラル:
• カリウム:1393 mg
• カルシウム:113 mg
• マグネシウム:176 mg
• リン:411 mg
• 鉄:5.07 mg
• 亜鉛:2.28 mg
葉酸:
• 約525 μg
数値は成熟した乾燥種子100 gあたりの値である。
他の乾燥豆類と同様に、Pinto は以下の栄養素を豊富に含む。
• 植物性たんぱく質
• 複合炭水化物
• 食物繊維
• 葉酸
• カリウム
• マグネシウム
Pinto Bean は Phaseolus vulgaris に属し、生の状態では phytohaemagglutinin を含む活性レクチンを含有する。
生または加熱不十分な種子は摂取してはならない。
pinto では、加熱温度が不十分な場合、レクチン活性は大きく低下しても完全には失活しないことが実験的に示されている。
EFSA が示すデータでは、pinto beans を 82°C で加熱した場合、PHA 活性の低下は約80%以下にとどまる可能性がある一方、沸点付近で十分に加熱すると、ほぼ完全に失活する。
推奨される安全な調理方法:
• 6~12時間浸水する
• 浸水後の水を捨てる
• 洗う
• 新しい水を使用する
• 100°Cまで加熱する
• 30分以上沸騰させる
• その後、完全にやわらかくなるまで調理を続ける
FDA も乾燥豆について、少なくとも5時間の事前浸水と、その後、新しい水で30分以上沸騰させることを推奨している。
スロークッカー
乾燥豆は、十分に沸騰させる工程を経ずに、低温のスロークッカーだけで調理すべきではない。
75~80°C 程度の温度では、phytohaemagglutinin を確実に失活させるには不十分な場合がある。
缶詰の pinto beans は、すでに工業的な加熱処理を受けているため、そのまま食べることができる。
乾燥 Pinto Beans は以下の条件で保存する。
• 密閉容器に入れる
• 乾燥した場所で保存する
• 涼しい場所で保存する
• 直射日光を避ける
• 害虫から保護する
長期間保存すると、以下の変化が起こることがある。
• 種皮の色が濃くなる
• 加熱時間が長くなる
• hard-to-cook effect が生じる
一般的な pinto 品種では、種子自体が食用可能な状態を保っていても、種皮の濃色化によって商品価値が大きく低下することがある。
そのため、現代の育種では slow-darkening 形質が積極的に利用されている。
調理済みの豆は、密閉容器に入れて冷蔵保存する。
Pinto Bean は単一の品種ではなく、米国の乾燥豆を代表する最大級かつ最も広く知られた market class の一つである。
2025年、USDA は米国の pinto 生産量を約 960万 cwt と記録しており、その大部分をノースダコタ州が占めた。
遺伝的には、pinto は主に race Durango に属し、このグループはメキシコの比較的乾燥した高地で形成された。
pinto という名称は、文字通りその斑模様の外観を表している。
興味深いことに、日本ではよく似た外観から、まったく異なる名称が生まれた。
• うずら豆 「鶉のような斑模様をもつ豆」
日本語の名称は、ウズラやウズラの卵にみられる斑模様を連想させる。一方、スペイン語の pinto は単に「斑のある」「彩色された」という意味をもつ。
異なる文化がそれぞれ独立して、種皮の模様を食品名へ取り込んだ興味深い例である。
加熱すると特徴的な斑模様はほとんど目立たなくなるため、調理後の pinto は乾燥豆の状態ほど印象的な模様を残さない。
ブラジルの Carioca Bean は非常によく似た模様をもつが、pinto ではない。
Carioca は20世紀後半に独立したブラジルの商品グループとして形成され、現在ではブラジル国内市場の主要な豆タイプとなっている。
日本の 福うずら と 福粒中長 も、米国の pinto を日本語で呼び換えただけのものではない。これらは日本の うずら類 に属する独立した栽培品種である。
外観のよく似た斑入り豆でも、その食文化における歩みは非常に対照的である。
• メキシコと米国の pinto:frijoles、refried beans、香辛料を使った煮込み料理
• 日本のうずら豆:伝統的に砂糖で煮る煮豆
同じような斑模様をもつ乾燥豆が、二つの食文化の中でまったく異なる料理の道を歩んできた。
Royal Botanic Gardens, Kew, Plants of the World Online. Phaseolus vulgaris
USDA Agricultural Research Service. Pinto bean research and market class
Genome-Wide Association Study of Seed Folate Content in Common Bean
Mexico Secretaría de Agricultura y Desarrollo Rural. Frijol, ícono del campo mexicano
University of California Agriculture and Natural Resources. Common Dry Bean Production in California
North Dakota State University. Slow Darkening Pinto Beans
US Dry Bean Council. Bean Varieties
The Bean Institute. What Type of Bean Should I Use
公益財団法人 日本豆類協会. いんげんまめの産地における栽培方法
ブラジル農牧研究公社 Embrapa. Mercado de feijão
Agência SP. Feijão carioca completa 60 anos
USDA Agricultural Research Service. Beans, pinto, mature seeds, raw, NDB 16042
EFSA. Risks for human health related to the presence of plant lectins in food
