
🇯🇵 日本語: アメリカサイカチ
🇬🇧 English: Honey Locust, Honeylocust, Thorny Honey Locust, Sweet Locust
🔬 学名: Gleditsia triacanthos L.
🌿 科名: Fabaceae
アメリカサイカチ(Gleditsia triacanthos)は、北アメリカ中部から東部を原産とする、マメ科の大型落葉樹である。
この百科事典で扱う多くの豆類とは異なり、歴史的な食用価値は、成熟種子を一般的な豆のように調理することよりも、成熟した莢の内部にある甘い果肉に主として結びついている。
伝統的に食用とされたもの:
• 成熟莢の甘い果肉
• 果肉の水抽出液から作る飲み物
• 一部の伝統では種子
• 若い種子ややわらかな若莢は、より限定的に利用
成熟した莢の革質の外皮そのものは、通常は主要な可食部ではない。
Gleditsia triacanthos の食用利用は、北アメリカ南東部の Cherokee において特によく記録されている。
歴史的植生に関する研究でも、南部 Appalachian 地域における honey locust の分布と、かつての Cherokee 集落との間に強い関連が示されており、人為的な栽培や樹木の移植・持ち込みが行われていた可能性も指摘されている。
この記事は現在、一部未完成のため、内容を随時追加・更新しています。
自然分布域は、アメリカ合衆国中部から東部の広い範囲に及び、さらにメキシコ北東部まで達する。
Kew は自然分布域を、アメリカ合衆国の中西部西側から東部にかけて、さらにメキシコの Nuevo León および Tamaulipas までとしている。
アメリカ合衆国では、特に以下の環境に多く見られる。
• 河川流域
• 氾濫原
• 湿潤な低地
• 石灰質土壌
• 撹乱された開放的な生育地
広く栽培されるようになった後、原産域を大きく越えて分布を広げた。
現在では、ヨーロッパ、南アメリカ、アフリカ、オーストラリアの多くの地域で帰化しており、場所によっては侵略的外来種として扱われている。
生活形:落葉高木
樹高:通常 約15~25 m、さらに高くなる個体もある
果実型:多数の種子を含む豆果
受粉:昆虫媒
葉:
• 互生
• 羽状複葉または二回羽状複葉
• 多数の小葉からなる
花:
• 緑がかった黄色
• 小型
• 総状花序につく
莢:
• 扁平
• 長い
• 革質
• しばしば湾曲またはねじれる
• 成熟すると赤褐色、濃褐色、またはほぼ黒色になる
成熟した莢の長さは通常、約15~40 cm。
内部には数十個ほどの硬い種子が入ることがあり、それぞれの種子の間には甘い繊維質の果肉がある。
刺
野生型の Gleditsia triacanthos は、大型で枝分かれした刺で知られる。
刺は、
• 幹
• 太い枝
• 場合によっては密集した分枝状の束
に形成される。
個体によっては、刺が数十cmに達することもある。
種小名 triacanthos は、刺が特徴的な三叉状構造を示すことに由来する。
造園では、棘のないタイプがはるかに多く利用され、伝統的に次の名称でまとめられる。
Gleditsia triacanthos f. inermis
現代の都市緑化用 cultivars の多くはさらに、結実が少ない、またはほとんど結実しないよう選抜されている。
更新世メガファウナ仮説
Honey locust の非常に発達した刺については、北アメリカの大型草食動物に対する防御として進化した可能性があるという仮説が提唱されている。
最終氷期末ごろに更新世のメガファウナが絶滅した後、このような大型の防御構造は、本来の意味を一部失った可能性がある。
Oxford University はこれを妥当性のある進化仮説として扱っているが、現代の研究では、絶滅したメガファウナから幹を守るための刺だったという考えは、直接的にはまだ検証されていないことが強調されている。
そのため、**「刺はマンモス対策だった」**と断定するのは強すぎる表現である。
より適切には、大型の刺は、絶滅した北アメリカのメガファウナを含む大型陸生草食動物に対する適応だった可能性があると表現する。
成熟した莢
食用として最も重要なのは、内部で種子の周囲に甘い繊維質組織が発達した、完全に形成された成熟莢である。
成熟すると外側の莢殻は、
• 濃褐色
• 革質
• 硬い
状態になる。
内部には、
• 硬い褐色の種子
• 褐色がかった、または琥珀色の甘い果肉
がある。
この果肉こそが、英語名 honey locust の由来である。
この名称は蜂蜜そのものや、特別に優れた蜜源樹であることとは関係なく、果実内部の甘さに由来する。
果肉の風味は、個体や系統によってかなり異なる。
飼料利用や agroforestry 向けには、莢の糖含量が特に高い cultivars も選抜されており、種内で大きな変異があることが分かる。
よく発達した甘い果肉には、
• はっきりした甘み
• キャラメルのようなニュアンス
• 糖蜜を思わせる風味
• ドライフルーツのような香味
• 軽い渋み
が感じられることがある。
一方、個体によっては果肉がかなり少なく、甘みも弱かったり、風味があまり好ましくなかったりする。
そのため、野生の honey locust を完全に均質な食材として評価することはできない。
Honey locust の食用利用は、特に Cherokee においてよく記録されている。
資料には、
• 成熟莢を食用とすること
• 甘い果肉の利用
• 莢から飲み物を作ること
• 果肉を甘味料として利用すること
が記録されている。
USDA Forest Service は、アメリカ南東部の Indigenous peoples による利用を記載し、種子莢の果肉から甘い飲み物を作っていたことを明記している。
Hamel と Chiltoskey の研究に基づく ethnobotanical records でも、果肉から作る飲み物は Cherokee と結びつけられている。
Honey locust の飲み物
成熟果実の代表的な利用法の一つ。
甘い果肉を水で抽出して利用した。
基本的な方法:
• 成熟莢をやわらかくする、または砕く
• 水に入れる
• 水溶性の糖分を液体へ移す
• 固形物を取り除く
得られた液体は、温かい状態または冷たい状態で飲まれた。
アメリカ南東部の諸民族の食文化を扱う考古学的レビューでも、honey locust pods から、他の果実飲料と同様の方法で飲み物を作ることが直接記述されている。
また、Cherokee の食事または飲料に関する民族史資料には、honey locust と酸味のあるトウモロコシの煮汁を組み合わせたものも記録されている。
発酵飲料
甘い莢は、発酵にも利用された。
Kew は honey locust の可食果肉が folk beers に使われたことを記載しており、FAO も Gleditsia triacanthos の莢から作る beer を伝統的な non-wood forest product として記録している。
ただし、この具体的な技術の起源については慎重に表現する必要がある。
18~19世紀の歴史資料には、アメリカ南部のヨーロッパ系入植者による honey-locust beer も記述されている。
したがって、発酵飲料が実際に存在したことは確かだが、Cherokee または北アメリカ先住民全体に共通する単一の伝統飲料と断定することはできない。
甘味料としての利用
安価な工業製糖が広く利用できるようになる以前、天然の甘味源は特に価値が高かった。
北アメリカ南東部の諸民族では、honey locust の甘い果肉が、
• そのまま食べる
• 飲み物を甘くする
• 他の食品を甘くする
• 薬用調製物の風味を改善する
ために利用された可能性がある。
Archaeobotanical reviews では、honey locust を southeastern Indigenous peoples の伝統的な甘味源の一つとして明確に位置づけている。
種子
成熟した Gleditsia triacanthos の種子は、
• 扁平
• 楕円形
• 褐色
• 非常に硬い
という特徴を持つ。
種皮は強い物理的休眠を生じさせる。
これは植物にとって有利な性質だが、成熟種子の処理方法を、一般的な乾燥豆とはまったく異なるものにしている。
Miami では、honey locust の種子を伝統的に食用とした記録がある。
その他の資料でも、若い種子や加工した成熟種子の利用が記述されているが、甘い果肉の利用ほど十分には記録されていない。
したがって、種子は Gleditsia triacanthos の副次的な食用部位であり、主要な料理利用形態ではない。
若い種子
完全に成熟する前は、種皮がかなりやわらかい。
Ethnobotanical literature や野生食用植物に関する文献では、若い種子を、
• 生で食べる
• 茹でて食べる
利用例が記載されている。
その味は若いグリーンピースにたとえられることがある。
ただし、この利用法には、成熟した甘い果肉ほど明確に記録され、広く継承された文化的伝統はない。
若い莢
ごく若くやわらかい莢についても、加熱後に食べられるという記述がある。
ただし、これは honey locust の主要な伝統食品ではなく、現代アメリカ料理における一般的な green bean のような位置づけでもない。
歴史的に最も重要な食用段階は、成熟した甘い果実である。
種子と galactomannan
化学的に見ると、Gleditsia triacanthos の種子で特に興味深いのは、よく発達した胚乳である。
成熟種子はおおよそ、
• 種皮
• 胚
• 胚乳
から構成される。
胚乳は galactomannan に富む。
研究では、Gleditsia triacanthos の多糖類には、
• 高い保水性
• 増粘性
• 乳化性
• 分散系を安定化する性質
があることが示されている。
機能面では、
• guar gum
• locust bean gum
• その他の食品用 hydrocolloid
と比較されている。
ただし、Gleditsia triacanthos gum は、guar gum や carob 由来の locust bean gum と同等の商業的地位を持つ、広く使用される現代的食品添加物ではない。
現時点では主として、hydrocolloid の潜在的供給源として研究されている素材である。
Gleditsia triacanthos の可食果肉については、USDA FoodData Central や 日本食品標準成分表 に独立した現代的な項目がない。
そのため、百科事典カード用として新鮮な可食部100 gあたりの正確な標準栄養値を示すことはできない。
飼料利用を目的とした成熟莢の研究では、可溶性炭水化物と糖類の割合が高いことが示されている。
ある研究では、成熟過程の莢に乾物1 kgあたり約292 gの総糖類が含まれていた。
ただし、この数値は莢全体の乾物に対するものであり、独立した可食果肉部分の値ではない。
そのため、これを一般的なヒト向け栄養成分表として扱うのは適切ではない。
正確な同定が必須
実用上の最大の危険は、名称の混同にある。
Honey locust = Gleditsia triacanthos
は、以下と混同してはならない。
Black locust = Robinia pseudoacacia
両者は、
• Fabaceae に属する
• 北アメリカ原産である
• 複葉を持つ
• 莢を形成する
• 英名に locust という語を含む
という共通点がある。
しかし、属が異なり、毒性学的性質も大きく異なる。
Robinia pseudoacacia の樹皮、葉、若い枝、種子、莢には、robin / phasin を含む有毒成分が存在し、人や動物の中毒例も報告されている。
そのため、野生樹の果実を食用として採取する場合は、確実な植物学的同定が必要である。
Honey locust
Gleditsia triacanthos の甘い果肉は食用として記録されている。 North Carolina Extension も、seed pod 内部の pulp が食用可能であることを明記している。
ただし、これを根拠に植物のすべての部位が食べられると判断してはならない。
枝や葉からは生理活性を持つアルカロイドが報告されており、樹皮、刺、その他の栄養器官に歴史的な薬用利用があったとしても、それは食品としての安全性を意味しない。
したがって、この食品カードでは、食用利用が記録されている部位のみを対象とする。
• 果実の果肉
• 歴史的に利用されてきた、適切に処理した種子
成熟した莢は、新鮮な野菜用豆類と比べて水分がかなり少なく、比較的保存性が高い。
保存には、以下のような莢が適している。
• 完全に成熟している
• 表面が乾いている
• カビがない
• 虫害がない
• 腐敗の兆候がない
保存条件:
• 乾燥した場所
• 通気性のよい環境
• 湿気を避ける
莢を開いて果肉を取り出した後は、保存性が大きく低下するため、早めに使用する必要がある。
成熟種子は、非常に硬い種皮によって長期間発芽能力を維持できる。
Honey locust という名前の honey は蜂蜜ではなく、甘い果実を指している。英名の由来となったのは、成熟莢の内部にある甘い果肉である。
Cherokee は、単に野生の木を偶然採取していたわけではない可能性がある。南部 Appalachian 地域を対象とした現代の研究では、現在の Gleditsia triacanthos の分布と、歴史的な Cherokee 集落との関連が確認されている。資料には、honey-locust orchards を伴う集落についての記述もある。
Cherokee のある集落名も、この木と関連づけられている。Kulsetsiyi はヨーロッパ人によって Cullasaja または Sugartown と表記されており、甘い honey locust pods の文化的重要性を反映している。
この木は、まるで別の時代のための武装を今も残しているように見える。巨大で枝分かれした刺は、絶滅した大型草食動物と関連する進化的アナクロニズムの可能性が実際に論じられているが、これはあくまで仮説であり、刺が生じた原因として証明されているわけではない。
人間や家畜が、絶滅した種子散布者の役割を部分的に引き継いだ可能性もある。牛や馬は甘い莢を好んで食べ、糞とともに種子を運ぶ。また、Cherokee の歴史的活動も、この木の自然分布を大きく変化させた可能性がある。
特別に選抜された**「甘い」honey locust** も存在する。Agroforestry では、棘がなく、果実収量が高く、糖含量の高い cultivars が維持されている。
一方、都市に植えられた honey locust のすべてが、このような甘い莢をつけるわけではない。現代の ornamental cultivars の多くは、無棘で、結実が少ない、またはほぼ結実しない性質を目的に選抜されている。
Gleditsia の種子は、化学的には小さな hydrocolloid 工場のような構造を持つ。胚乳には galactomannan が豊富に含まれ、実験的には guar gum や locust bean gum に近い機能を持つ増粘剤・安定剤として働く可能性が示されている。
ただし、honey locust と locust bean gum はまったく同じものではない。 商業的な locust bean gum は、Gleditsia triacanthos ではなく、carob tree の Ceratonia siliqua の種子から作られる。
Black locust は、なおさら honey locust とは別物である。 Robinia pseudoacacia の種子、莢、葉、樹皮には有毒成分が含まれているため、野生植物を採取する際にこの2つの英名を混同すると危険である。
Kew Science — Plants of the World Online: Gleditsia triacanthos L.
Kew Science — Gleditsia: General Information and Uses
農林水産省 植物防疫所 — アメリカサイカチ / Gleditsia triacanthos
鹿児島大学農学部植物園 — Gleditsia triacanthos / アメリカサイカチ
Hokkaido University — Gleditsia genus and アメリカサイカチ
USDA Forest Service — Silvics of North America: Honeylocust
USDA Forest Service — Gleditsia triacanthos Species Review
USDA Forest Service — Guide to Species Ecology: Honey-locust
PMC — Ghosts of Cultivation Past
University of Georgia — Southeastern Indian Foodways and Honey Locust Beverages
University of Tennessee — The Rhythm of the Land: Native Food Plants of the Southeast
University of California Santa Barbara — Comparative Seed Manual: Fabaceae
Oxford University Herbaria — Gleditsia triacanthos
North Carolina State University Extension — Gleditsia triacanthos
Virginia Tech — Tree Selection Guide for Mid-Atlantic Silvopastures: Thornless Honey Locust
Virginia Tech — Agroforestry Using Honeylocust
Food Hydrocolloids — Chemical Composition and Functional Properties of Gleditsia triacanthos Gum
Plant Physiology — Cell-Wall Carbohydrates of the Endosperm of Gleditsia triacanthos Seed
Food Hydrocolloids — Gleditsia triacanthos Galactomannans Compared with Guar and Locust Bean Gum
Animal Feed Science and Technology — Nutritional Evaluation of Gleditsia triacanthos Pods
Cornell University — Black Locust Poisonous Plant Profile
Missouri Extension — Black Locust Toxicity
North Carolina State University Extension — Robinia pseudoacacia
