
🇯🇵 日本語: 緑レンズ豆
日本での別表記: グリーンレンズ豆、グリーンレンティル
🇬🇧 English: Green lentil, Green lentils
🔬 学名: Lens culinaris Medik.
🌿 科名: Fabaceae マメ科
🌍 Français: lentille verte
🌍 Italiano: lenticchia verde
緑レンズ豆は、栽培種のレンズマメ Lens culinaris のうち、種皮が緑色、灰緑色、または緑褐色を呈する成熟乾燥種子の総称である。
単一の植物学的品種を指す名称ではない。green lentil の名称では、種子の大きさ、種皮の色調、表面模様、風味、加熱後の形の保ちやすさなどが異なる複数の栽培品種や地域系統が流通している。
緑レンズ豆は通常、種皮を残した全粒の状態で販売される。そのため、種皮を除去した赤レンズ豆や黄レンズ豆と比べて、加熱後も形を保ちやすく、よりはっきりした食感が残る。
特に有名なフランスのタイプが、オート=ロワール県産の Lentille verte du Puy AOP である。これは緑レンズ豆全体の同義語ではなく、定められた原産地域で栽培、選別、包装された Anicia 品種のレンズ豆に与えられる保護原産地名称である。
日本では、レンズマメを指す名称として レンズ豆、レンズマメ が使われ、標準和名としては ヒラマメ も用いられる。緑色のタイプは、流通上 緑レンズ豆、グリーンレンズ豆、グリーンレンティル などの名称で販売される。
本項では、成熟した乾燥緑レンズ豆を対象とする。
この記事は現在、一部未完成のため、内容を随時追加・更新しています。
レンズマメは、人類が最も古くから栽培してきた穀粒豆類の一つである。
その栽培化は、新石器時代の農耕が始まった頃の西南アジアで進んだ。考古学的研究と遺伝学的研究では、栽培レンズマメは主に肥沃な三日月地帯と、その野生祖先である Lens culinaris subsp. orientalis に結び付けられている。
野生のレンズマメは、完全な栽培化が成立する以前から人間によって利用されていた。大規模な考古植物学的資料からは、およそ1万年前には、レバント地方の初期農耕民によってレンズマメがすでに継続的に栽培されていたことが分かっている。
その後、レンズマメは地中海地域、ヨーロッパ、北アフリカ、中央アジア、南アジアへと広がった。
現在の緑レンズ豆は、独立した古代の栽培化系統を示すものではない。緑色の種皮は、現代の Lens culinaris の栽培品種を区別する多くの形質の一つである。
Lentille verte du Puy
フランスのオート=ロワール県に位置する Velay 地方では、緑レンズ豆が独自の歴史を築いてきた。
この地域でのレンズマメ栽培に関する最初の文献記録は1643年にさかのぼる。ただし、実際の栽培伝統はそれよりかなり古い可能性がある。
1935年には、地域外で栽培されたレンズマメが Puy の名称で販売されたことをめぐる争いを経て、Lentille verte du Puy の原産地がフランス国内で法的に認められた。
その後、この製品はフランスの AOC を取得し、1996年にはフランスの野菜製品として初めてヨーロッパの原産地保護制度の対象となった。現在は AOP / PDO として保護されている。
栽培レンズマメ Lens culinaris は、マメ科 Fabaceae に属する。
草丈は比較的低く、細く枝分かれする茎をもつ一年生草本である。
葉は複葉で、先端には通常、小さな巻きひげが形成される。
花は小さく、白色、淡青色、淡紫色などを呈することが多い。
果実は小さく扁平な莢果で、通常1~2個の種子を含む。
種子は特徴的な扁平な両凸形をしている。この形が、後に光学器具の「レンズ」という名称の由来となった。
種子の直径は栽培品種によって異なり、一般に約3~9 mmである。
古い植物学および農学文献では、栽培レンズマメを種子の大きさによって二つの形態型に分けることが多かった。
microsperma
小粒種子型
macrosperma
大粒種子型
この種子サイズに基づく分類は現在も農学文献で使われることがあるが、現代の植物分類学における正式な亜種区分として必ず採用されるものではない。
レンズマメは、世界各地の温帯地域や乾燥地域で栽培されている。
現代の主要な生産地域には、次の国や地域が含まれる。
カナダ
インド
オーストラリア
トルコ
アメリカ
カザフスタン
ネパール
中東諸国
地中海沿岸諸国
カナダは国際的なレンズマメ取引において特に重要で、世界有数の生産国および輸出国の一つである。
緑レンズ豆は北米のレンズマメ生産でも大きな割合を占めている。カナダとアメリカでは、大粒タイプと小粒タイプの両方の緑レンズ豆が栽培されている。
フランスでは、緑レンズ豆は特に強い食文化上の位置付けをもつ。Lentille verte du Puy のほかにも、AOPの保護地域外で Anicia やその他の栽培品種の緑レンズ豆が広く生産されている。
全粒の緑レンズ豆は、扁平で丸みを帯びたレンズ形の種子をもつ。
種皮の色は品種によって異なり、次のような色調がみられる。
緑色
オリーブグリーン
灰緑色
緑褐色
濃緑色
種皮が単色の品種もあれば、大理石状や斑点状の模様をもつ品種もある。
内部の子葉は通常、黄色である。
種子の大きさによって、緑レンズ豆は大粒タイプと小粒タイプに大別されることがある。
一般的な緑レンズ豆
中粒または大粒のものが多く、種皮は緑褐色で、単色または弱い大理石模様を示すことが多い。
加熱後は、種皮を除去した赤レンズ豆や黄レンズ豆よりも形を保ちやすい。ただし、長時間加熱すると徐々にやわらかくなり、一部が崩れることもある。
French green lentil
フランス国外では、この名称で小粒の濃緑色または灰緑色のレンズ豆が販売されることが多く、特徴的な大理石模様をもつものも多い。
French green lentil という名称自体は、保護された地理的表示ではない。
Lentille verte du Puy AOP
公式規格では、Anicia 品種を使用することが定められている。
種子の直径は 3.25~5.75 mm で、淡い緑色の地色に濃い緑青色の大理石模様が入る。
種皮が薄く、内部は比較的粉質になりにくいことが特徴である。
歴史的なフランスの資料では、このタイプを Lens esculenta puyensis と表記していたが、現行のAOP規格では、Lens culinaris に属する Anicia 品種として扱われている。
緑レンズ豆は、種皮を除去した多くのレンズ豆よりも、比較的はっきりした風味をもつ。
加熱後には、一般に次のような風味が感じられる。
穏やかな土を思わせる風味
軽いナッツのような風味
控えめな植物由来の甘味
種皮が残っているため、粒にはよりしっかりした食感が生まれる。
適切に加熱した緑レンズ豆は、内部がやわらかくなる一方で、個々の種子は比較的よく形を保つ。
小粒のフランス系タイプ、特に Lentille verte du Puy は、ほどよい弾力と、穏やかに加熱しても全体が均一なペースト状になりにくい性質によって特に高く評価されている。
Lentille verte du Puy の公式な製品説明でも、薄い種皮、粉質になりにくい内部、比較的短い調理時間が特徴として挙げられている。
緑レンズ豆は、粒の形を残したい料理に特に適している。
主な用途は次のとおりである。
スープ
煮込み料理
温かいサラダや冷たいサラダ
付け合わせ
野菜料理
ソーセージや燻製肉を使った料理
豚肉料理
ベジタリアン用のパティや詰め物
Salade de lentilles
緑レンズ豆を使う代表的なフランス料理の一つである。
ゆでたレンズ豆を冷やすか、温かい状態のまま、ヴィネグレット、エシャロット、マスタード、ハーブなどと和える。
地域によっては、ベーコン、燻製肉、ソーセージ、チーズ、卵などを加えることもある。
この料理では、加熱後も粒の形を保つレンズ豆が特に好まれる。
Petit salé aux lentilles
塩漬けまたは軽く塩漬けした豚肉を、緑レンズ豆とともに煮込む伝統的なフランス料理である。
特にオーヴェルニュ地方と Lentille verte du Puy との結び付きが強い。
スープとpotage
緑レンズ豆は、澄んだスープや濃厚なスープのほか、potage や velouté にも使われる。
短時間の加熱では粒が比較的そのまま残るが、長く煮込むと一部が崩れ、でんぷんによって自然にスープへとろみが付く。
その他の料理
一般的な緑レンズ豆は、ヨーロッパ、北米、中東の料理や、現代のベジタリアン料理で広く利用されている。
特に次の食材と相性がよい。
玉ねぎ
にんじん
セロリ
にんにく
トマト
マスタード
酢
タイム
ローリエ
燻製豚肉
ソーセージ
緑レンズ豆は、多くの大型の乾燥豆類とは異なり、調理前の浸水を必要としない。
調理前に異物などを取り除き、冷水でよく洗う。
全粒の緑レンズ豆
一般的な全粒の緑レンズ豆は、通常およそ20~35分でやわらかくなる。
大粒のもの、長期間保存されたもの、または比較的硬い品種では、40~45分ほど必要になる場合もある。
サラダや付け合わせに使う場合は、粒の形と軽い弾力を残すため、約20分を過ぎた頃から火の通り具合を確認するとよい。
Lentille verte du Puy
小粒で種皮が薄いため、通常はおよそ20~25分で調理できる。
浸水は必要ない。
皮を除いたもの、または割ったレンズ豆
緑レンズ豆の種皮を除去したものや、割ったものは、より短時間で調理できる。通常は約15~25分でやわらかくなり、全粒よりも崩れやすい。
緑色の種皮を取り除くと、外見上は特徴的な緑色ではなくなる。
トマト、ワイン、多量の酢などの酸性食材は、レンズ豆がある程度やわらかくなってから加える方がよい。酸性の環境では、細胞壁の軟化が遅くなる場合がある。
緑レンズ豆は、品種によって成分値に差があるため、一般的な緑レンズ豆については、成熟した乾燥 Lens culinaris の標準的な栄養成分値を用いるのが適切である。
乾燥した成熟レンズ豆100 gあたりのおおよその栄養成分は次のとおりである。
エネルギー: 352 kcal
たんぱく質: 24.6 g
脂質: 1.1 g
炭水化物: 63.4 g
食物繊維: 10.7 g
レンズ豆は、次の栄養素の供給源でもある。
葉酸
鉄
マグネシウム
リン
カリウム
亜鉛
銅
マンガン
加熱すると多量の水分を吸収するため、100 gあたりの栄養成分濃度は大きく低下する。
食塩を加えずにゆでたレンズ豆100 gあたりのおおよその栄養成分は次のとおりである。
エネルギー: 116 kcal
たんぱく質: 9.0 g
脂質: 0.4 g
炭水化物: 20.1 g
食物繊維: 7.9 g
実際の栄養成分は、品種、栽培条件、調理方法によって異なる。
緑レンズ豆には、一部の Phaseolus vulgaris にみられる高濃度のフィトヘマグルチニン、grass pea の β-ODAP、fava bean の vicine や convicine に相当するような、特に重要な固有の食品毒素は知られていない。
ただし、成熟した生の種子は、加熱せずに食べることを前提とした食品ではない。
他の穀粒豆類と同様に、レンズ豆には次のような成分が含まれる。
レクチン
プロテアーゼ阻害物質
フィチン酸
タンニン
その他の生理活性成分
これらの多くは、通常の煮沸やその他の食品加工によって大きく減少する。
レンズ豆のレクチン活性は、生の Phaseolus vulgaris と比べてかなり低い。そのため、Kidney beans に必要とされるような長時間の強い沸騰を特別に行う必要はない。
通常どおり、中心まで十分に火が通るまで加熱することが、標準的な安全対策として十分である。
レンズ豆による食物アレルギーは存在し、特に豆類を日常的によく食べる地域では比較的よく報告されている。ヒヨコマメ、エンドウ、ピーナッツなど、他のマメ科食品との交差反応が起こる場合もある。
通常のレンズ豆摂取とファビズムとの間に、広く受け入れられた明確な関連は確認されていない。G6PD欠損症における溶血発作の代表的な食品誘因は fava bean であり、レンズ豆を同様の特異的リスクとして扱うべきではない。
乾燥した緑レンズ豆は、密閉容器に入れ、乾燥した涼しく暗い場所で保存する。
特に次の条件を避けることが重要である。
高湿度
直射日光
高温
害虫
急激な温度変化
適切な条件で保存すれば、乾燥レンズ豆は長期間保存することができる。
ただし、保存期間が長くなるにつれて、種子は徐々に水を吸収しにくくなり、やわらかくなるまでの加熱時間も長くなる。
緑レンズ豆では、特に光を避けて保存することが重要である。長時間光にさらされると、緑色の種皮の外観が劣化し、特徴的な色が失われやすくなる。
家庭で保存する場合は、密閉できる容器に入れ、涼しく暗い戸棚などに置くのが望ましい。
光学器具の「レンズ」という名称は、レンズマメに由来する。逆ではない。ラテン語の lens はもともとレンズマメを意味しており、その後、レンズマメの種子に似た両凸形のガラス片が同じ名称で呼ばれるようになった。
レンズマメの日本語の標準和名 ヒラマメ は、その扁平な形をそのまま表した名称である。一方、現在の食品流通では レンズ豆 という名称の方がはるかに一般的に見られる。
Lentille verte du Puy は、どこで栽培しても Puy と名乗れる単なる品種名ではない。現行のAOP制度では、Anicia 品種、オート=ロワール県内の指定地域、さらに定められた栽培、選別、包装方法を組み合わせた製品として保護されている。
古いフランスの規定では、Lentille verte du Puy は Lens esculenta puyensis に由来する Anicia 系統として記載されていた。現在のヨーロッパの規格では、より新しい表現として、「Lens culinaris に属する Anicia 品種」 と記載されている。
Lentille verte du Puy の原産地は、すでに1935年にフランス国内で法的な認定を受けている。INAOでは、この背景として、他地域で栽培されたレンズマメに Puy の名称が使用されることを防ぐための取り組みを挙げている。
1996年、Lentille verte du Puy は、ヨーロッパの原産地保護表示を取得したフランス初の野菜製品となった。
Puy の特徴は、品種だけによって生じるものではない。公式規格では、Velay 地方の乾燥した夏の気候と、主に火山性の土壌が重要な要因として挙げられている。こうした栽培条件では種子の完全な成熟がある程度抑えられ、その結果、薄い種皮と比較的粉質になりにくい内部構造が形成される。
緑レンズ豆をサラダに使う場合は、加熱不足よりも加熱しすぎの方が食感を損ねやすい。粒ごとの軽い弾力を残したい場合は、18~20分ほど経った頃から火の通り具合を確認し、中心がやわらかくなっても種子の形が保たれている段階で加熱を止めるとよい。
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