ソラマメ / Faba bean

🇯🇵 日本語: ソラマメ
日本での別表記: 空豆、蚕豆
🇬🇧 English: Faba bean, Fava bean, Broad bean
🔬 学名: Vicia faba L.
🌿 科名: Fabaceae マメ科
🌍 العربية: فول fūl
🌍 Italiano: fava, мн. fave
🌍 Español: haba, мн. habas
🌍 Türkçe: bakla
🌍 中文: 蚕豆 cándòu
🌍 Ελληνικά: κουκιά koukiá
🌍 አማርኛ: ባቄላ bəqəlla

Vicia faba は、旧世界で古くから栽培されてきたマメ科作物であり、英語では faba bean、fava bean、broad bean などと呼ばれる。名称に bean が含まれるが、Phaseolus 属や Vigna 属には属さず、マメ科 Fabaceae の Vicia 属に分類される。

horse bean という名称は、Vicia faba 全体の正確な同義語ではない。歴史的には、主に中粒種の equina タイプを指して用いられてきた。種全体を表す英語名としては、faba bean や broad bean の方がより一般的である。

本項では、十分に成熟した後に乾燥させた種子のみを対象とする。若い緑色の莢や未熟種子は、別の食品カテゴリーとして扱う。

日本では、この植物は ソラマメ と呼ばれ、漢字では 空豆 または 蚕豆 と表記される。日本豆類協会では、空豆という表記は若い莢が上向きに伸び、空の方向を向くことに由来すると説明している。一方、蚕豆という表記は、ソラマメの季節が蚕の繭が作られる時期と重なることに由来すると伝えられている。

この記事は現在、一部未完成のため、内容を随時追加・更新しています。

Vicia faba は、人類が最も古くから栽培化してきたマメ科作物の一つである。

この種の起源は長い間明確ではなかった。現在まで、栽培型の直接の祖先と確実に特定できる現生の野生集団が知られていないためである。

現在のイスラエルにあるカルメル山のエル・ワド遺跡では、約1万4千年前の野生祖先型とみられる種子が発見されている。これらの考古植物学的資料は、Vicia faba の祖先がレバント地域に起源をもつ可能性を示している。また、下ガリラヤでは、形態的にすでに栽培化された特徴をもつソラマメが約1万200年前に栽培されていたことを示す証拠が確認されている。

その後、ソラマメは地中海地域、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアへ広がり、さらに世界各地へ伝播した。

ソラマメは古代ギリシャの文献にも登場する。ホメロスは『イリアス』の中で比喩表現としてソラマメに言及しており、その後のギリシャおよびローマの史料からも、食料としてだけでなく文化的にも重要な作物であったことがうかがえる。

Vicia faba は、マメ科 Fabaceae に属する一年生草本で、Fabeae 族に分類される。

植物は直立する茎を形成し、比較的大きな花をつける。花は一般に白色で濃色の斑紋をもつが、色調は品種によって異なる。果実は莢果で、その内部に複数の大きな種子が形成される。

Vicia faba は形態的な変異が大きく、栽培型は伝統的に種子の大きさや形によっていくつかのグループに分類される。

major は最も大粒で、強く扁平した種子をもつタイプで、一般に broad bean と呼ばれるものが多く含まれる。

equina は中粒のタイプで、歴史的に horse bean や field bean と呼ばれてきた。

minor は小粒のタイプで、tic bean または tick bean とも呼ばれる。

このほか、まれな小粒タイプとして paucijuga が区別されることもある。

これらはすべて Vicia faba の種内変異を示す分類群であり、それぞれが独立した植物種というわけではない。

Vicia faba は、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリア、南北アメリカの温帯および亜熱帯地域で栽培されている。食用作物としてだけでなく、飼料用や土壌改良を目的とした作物としても利用される。

日本豆類協会が紹介するFAOSTATのデータによると、2024年の乾燥 broad beans および horse beans の世界生産量は約626万トンであった。

主な生産国は次のとおりである。

中国: 約176万トン
エチオピア: 約116万トン
オーストラリア: 約64万トン
イギリス: 約46万トン

FAOSTATの統計には、食用および農業用途に利用される Vicia faba のさまざまな大粒種と小粒種が含まれている。

日本では、国内で生産されるソラマメの多くが未熟な生鮮野菜として消費される。一方、乾燥種子は輸入への依存度が高く、主な供給国には中国やオーストラリアなどが含まれる。

乾燥した Vicia faba の種子は、大きさや形に大きな変異がみられる。

大粒の broad bean タイプは、一般に幅が広く、扁平で、楕円形またはやや角張った種子をもつ。これに対して、horse bean や field bean と呼ばれる比較的小粒のタイプは、種子が小さく、扁平の程度も弱い。

伝統的な分類では、major は1粒あたりおよそ1 g以上の大粒種、equina は約0.6~1 gの中粒種、minor は約0.3~0.6 gの小粒種とされる。ただし、実際の大きさには品種間で大きな差がある。

成熟した乾燥種子の色は、クリーム色、黄味を帯びた色、緑褐色、褐色、赤褐色、紫色、ほぼ黒色まで幅広い。多くの品種では、細長い濃色のへそがはっきり確認できる。

乾燥品は、種皮付きの全粒、種皮を除去したもの、さらに種皮を除去して二つに割ったものなど、複数の形態で流通している。

加熱した乾燥ソラマメは、はっきりした豆の風味に、わずかに土を思わせる香りとナッツのような風味をもつ。

種皮付きの全粒豆は、十分に加熱した後も比較的しっかりした食感を保つ。内部はやわらかくなり、粉質ででんぷん質の食感になる。

種皮を除去したもの、とくに割った豆は全粒豆よりも崩れやすく、加熱すると濃厚でなめらかなクリーム状になりやすい。この性質を生かし、伝統的にピューレ、濃厚なスープ、ペースト、詰め物などに利用される。

風味は品種、種子の保存期間、調理方法によって異なる。一部の品種には自然な苦味が感じられ、この苦味には種子に含まれるビシンやコンビシンも関与している。

乾燥した Vicia faba は、エジプトをはじめとする北アフリカ、レバント、イタリア、トルコ、エチオピア、中国などの食文化で重要な位置を占めている。

全粒、種皮を除去したもの、割ったもの、粉に挽いたもの、発酵させたものなど、さまざまな形で利用される。

Ful medames

Ful medames(فول مدمس) は、エジプトを代表する伝統料理の一つであり、中東や北アフリカの他地域でも広く食べられている。

小粒の乾燥した Vicia faba を種皮付きのまま使用し、あらかじめ浸水させた後、十分にやわらかくなるまで長時間加熱する。仕上げでは一部を軽くつぶしながら、豆の形もある程度残すことが多い。レモン、ニンニク、クミン、油などで味付けし、地域や家庭によってさまざまな副材料を加える。

Ta’meya

Ta’meya は、エジプト式ファラフェルである。ヒヨコマメを主原料とする多くのレバント地方のファラフェルとは異なり、伝統的なエジプトの ta’meya では、種皮を除去して割った乾燥 Vicia faba を使用する。

浸水させた生の豆を、香草、タマネギ、ニンニク、スパイスとともにすりつぶし、成形した後に油で揚げる。

Bessara

Bessara または bissara は、特にモロッコをはじめとする北アフリカで広く作られる料理である。

種皮を除去して割った乾燥豆を、ニンニク、オリーブオイル、クミンなどの香辛料とともに長時間煮込み、なめらかな濃厚スープまたはピューレ状に仕上げる。

Fave e cicoria

南イタリアのプーリア州では、乾燥した皮むきソラマメが伝統料理 fave e cicoria の主要材料となる。

豆を浸水させた後、濃厚なピューレ状になるまで煮込み、ゆでるなどして調理したチコリとオリーブオイルを添えて供する。

トルコの fava

トルコ料理の fava は、乾燥した皮むきソラマメを使った冷製メゼである。

豆をタマネギとオリーブオイルとともにやわらかくなるまで煮て、なめらかなピューレ状にし、冷やして仕上げる。通常はオリーブオイル、レモン、ディルなどを添えて供される。

Doubanjiang

中国料理では、乾燥した Vicia faba が発酵調味料 豆瓣酱(doubanjiang) の原料として利用される。

特に有名なのが四川省の 郫县豆瓣酱(Pixian doubanjiang) である。皮を除いた broad beans を発酵させ、その後、発酵させた唐辛子などと合わせて熟成させる。Doubanjiang は四川料理を特徴づける主要な調味料の一つである。

日本豆類協会でも、発酵させたソラマメが豆板醤の伝統的な原料であることを紹介している。

種皮付きの乾燥全粒ソラマメは、通常、調理前に冷水へ8~12時間、または一晩浸水させる。

浸水後は水を捨て、豆を洗ってから新しい水で中心部まで十分にやわらかくなるまで加熱する。必要な加熱時間は、種子の大きさ、品種、収穫後の経過期間、目指す食感などによって異なるが、一般に約60~120分が目安となる。

Ful medames に使われる小粒タイプは、非常にやわらかい食感に仕上げるため、特に長時間加熱されることがある。

種皮を除去した乾燥豆や、さらに割った豆は、全粒豆よりも短時間でやわらかくなる。ピューレや濃厚なスープに使用する場合は、子葉が十分に崩れ、濃厚ででんぷん質の状態になるまで加熱する。

浸水、種皮の除去、加熱処理によって、ビシンやコンビシンを含む一部の抗栄養成分は減少する。ただし、完全に除去されるわけではない。

日本食品標準成分表によると、成熟した乾燥 Vicia faba 100 gあたりのおおよその栄養成分は次のとおりである。

エネルギー: 323 kcal
たんぱく質: 26.0 g
脂質: 2.0 g
炭水化物: 55.9 g
利用可能炭水化物: 37.6 g
食物繊維: 9.3 g

乾燥ソラマメには、各種ミネラルや葉酸も比較的多く含まれる。

乾燥品100 gあたりのおおよその含有量は次のとおりである。

カリウム: 1100 mg
マグネシウム: 120 mg
リン: 440 mg
鉄: 5.7 mg
亜鉛: 4.6 mg
銅: 1.2 mg
葉酸: 260 μg

実際の栄養成分は、品種、栽培条件、収穫時期、個々の製品によって異なる。

ファビズムとG6PD欠損症

Vicia faba には、他の多くの食用豆類とは異なる重要な安全上の特徴がある。

種子には、ピリミジン配糖体である ビシン と コンビシン が含まれている。これらは体内で酸化作用をもつ ディビシン と イソウラミル に変換される。遺伝性のグルコース6リン酸脱水素酵素欠損症、G6PD欠損症 をもつ人では、これらの化合物によって赤血球の急性溶血が引き起こされることがあり、この反応は ファビズム と呼ばれる。

溶血発作では、強い倦怠感、顔色不良、黄疸、濃色尿、息切れ、動悸などの症状が現れることがある。反応の重症度には大きな個人差がある。

浸水、加熱、焙煎、発酵などの加工によって、ビシンやコンビシンの含有量を大きく減らすことはできるが、必ずしも完全に除去できるわけではない。そのため、通常の調理を行っても、一般的な Vicia faba がG6PD欠損症の人にとって確実に安全な食品になるとは限らない。

G6PD欠損症と診断されている人には、fava beans の摂取を避けることが推奨される。現在の臨床ガイドラインでも、fava beans は溶血を引き起こすことが確認されている食品性誘因の一つとして扱われている。

また、G6PD欠損症の乳児において、授乳中の母親が fava beans を摂取した後にファビズムを発症した症例も報告されている。LactMed では、G6PD欠損症と診断された乳児に授乳している母親に対し、fava beans を避けるよう推奨している。

乾燥した全粒ソラマメは、密閉容器に入れ、高湿度、直射日光、害虫、急激な温度変化を避け、乾燥した涼しく暗い場所で保存する。

長期間保存すると、乾燥種子は徐々に水を吸収しにくくなり、浸水や加熱により長い時間を必要とする場合がある。

種皮を除去したものや、さらに割った乾燥豆は、空気に触れる表面積が大きいため、種皮が残った全粒豆よりも一般に品質が低下しやすい。

Vicia faba は、直接の祖先に相当する現生の野生集団が現在まで確認されていない、珍しい古代作物の一つである。カルメル山で発見された約1万4千年前の種子は、現在では失われた野生祖先型の痕跡と考えられている。

ファビズムは、同じ食品を多くの人が問題なく摂取できる一方、特定の遺伝的体質をもつ人では重い反応を引き起こす可能性があるという、非常に特徴的な食品リスクの例である。G6PD欠損症は、アフリカ、地中海沿岸、中東、アジアの一部集団で比較的多くみられる。G6PDの一部の遺伝的変異はマラリアに対して一定の防御効果をもたらしたと考えられており、歴史的にマラリアが流行していた地域で高い頻度を示す理由の一つとされている。

ピタゴラスとその弟子たちには、豆を食べることを禁じていたという伝承がある。後世の資料では、その理由について輪廻転生に関する宗教的観念や身体的な影響など、さまざまな説明が提案されている。この禁忌を直接ファビズムと結び付ける説は、現代の医学史上の仮説の一つであり、確定した説明ではない。また、古代の史料自体も、ピタゴラスが本当に豆全般を禁止していたのかという点で一致していない。

日本語では、同じ植物に二つの特徴的な漢字表記がある。空豆 は若い莢が上向きに伸びて空を向くことに由来し、蚕豆 はソラマメの季節が養蚕で繭が作られる時期と重なることに由来すると伝えられている。

乾燥した fava beans は、地域の食文化や加工方法によってまったく異なる食品へ変化する。小粒の全粒豆はエジプトの ful medames の主原料となり、皮を除いて割った豆は ta’meya や bessara、イタリアの豆ピューレなどに利用される。一方、四川では同じ Vicia faba の種子が複雑な発酵工程を経て 豆瓣酱 の原料となる。このように、一つの植物種から複数の独立した食品カテゴリーが形成されている。

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