ササゲ(赤色)/ Red cowpea / vanpayar

🇯🇵 日本語名: ササゲ(赤色)
🇬🇧 英語名: Red cowpea
🔬 学名: Vigna unguiculata (L.) Walp.
🌿 科名: マメ科(Fabaceae)
その他の広く使われている名称: Vanpayar / Van payar(വൻപയർ)、red chori、red cowpea

この食材が伝統的に重要な位置を占める主な食文化: インド、特にケーララ州の料理。日常の家庭料理だけでなく、伝統的な菜食の祝宴料理である**Sadya(サディヤ)**にも特徴的に使われる。

日本豆類協会では、このタイプの赤色系種子を**「ささげ(赤色)」**として分類しており、赤い種皮を持つCowpeaの一タイプとして扱っている。

Red cowpea / Vanpayarは、Vigna unguiculataの中でも、赤色から赤褐色の種子を持つタイプである。

独立した植物種ではなく、また単一の特定品種を指す名称でもない。ケーララ州でVanpayarと呼ばれるものには、赤色、赤褐色、濃い赤褐色の種皮を持ち、完熟乾燥豆として利用される複数のCowpea系統が含まれる。

そのため、流通する豆の外観にはある程度の違いがあり、比較的明るい赤褐色のものから、より濃色のものまで見られる。粒の大きさにも幅があり、小粒から比較的大粒のタイプまで存在する。

Vanpayarは、**adzuki bean(Vigna angularis)**と混同しないよう注意が必要である。どちらも赤色系の種子を持つため外見が似ることがあるが、植物学的には別の種である。

Kerala Agricultural Universityでは、完熟乾燥種子を収穫するためのgrain cowpeaを独立した栽培カテゴリーとして扱っており、Vigna unguiculataの多数の品種や育種系統を研究・栽培している。その中には、赤色種子を特徴とする選抜系統も含まれている。

この記事は現在、一部未完成のため、内容を随時追加・更新しています。

赤い種皮そのものがCowpeaを別の植物種にするわけではない。しかし、ケーララ州では、赤色系のCowpeaが長いあいだ独自の消費者嗜好と食文化上の位置づけを持ってきた。

Kerala Agricultural Universityは、grain cowpeaの栽培資料の中で、consumer-preferred red-seeded Krishnamony、つまり「消費者に好まれる赤色種子のKrishnamony」を特に取り上げている。この品種は、夏季に水田の収穫後へ導入する作物としても適していると評価された。

これは、種子の色が単なる偶然の外観的特徴にとどまっている場合とは異なる。ケーララ州では、赤色の種皮や粒のタイプそのものが、消費者の選択や伝統的な利用法に直接関わる特徴となっている。

ケーララ州では、Vanpayarは非常によく知られた伝統的な乾燥豆のひとつである。

日常の家庭料理だけでなく、祝いの料理にも広く使われている。茹でた豆は、ココナッツ、ココナッツミルク、カボチャ、冬瓜、各種スパイス、エシャロット、カレーリーフなどと組み合わせて調理される。

特に重要なのが、ケーララ州の伝統的な菜食の祝宴料理である**Sadya(サディヤ)との結びつきである。Sadyaは多数の料理をバナナの葉に盛りつけて供する伝統的な食事で、特にOnam(オーナム)**の祝祭と深く結びついている。

Kerala Tourismでも、Onasadyaを構成する代表的な料理のひとつであるOlanの伝統的な材料として、Red cowpeasが明記されている。

Olan

ഓലൻ(オーラン、Olan、Ash Gourd and Red Cowpea in Coconut Milk)
Vanpayarの代表的な伝統料理のひとつ。
Olanは、冬瓜であるkumbalanga、場合によってはカボチャ、Red cowpea、青唐辛子、カレーリーフ、ココナッツミルクなどを使って作る、穏やかで辛さの少ない料理である。
Kerala Tourismの公式レシピでは、材料として明確に**Van Payar (Red oriental beans)**と記載されている。
これは、Olanに使われる豆が単なるCowpea一般ではなく、赤色系のCowpeaと強く結びついていることを示す重要な例である。
OlanはKerala Sadyaを構成する伝統料理のひとつで、特にOnamの祝祭料理と深く結びついている。
穏やかな味わいのココナッツミルクの中で、Vanpayarは料理にしっかりとした食感と豆のコクを加えながら、冬瓜やカボチャの繊細な風味を邪魔しない。

OlanでVanpayarが特に使われる理由

Olanでは、Red cowpeaが複数の役割を果たしている。
柔らかい冬瓜やカボチャに対して、食感のコントラストを加える。植物性たんぱく質を補い、料理に食べ応えを与える。
やや土のような豆の風味が、繊細なココナッツミルクとよく調和し、Olanを重くスパイシーなカレーにすることなく、味に奥行きを加える。
また、濃い赤褐色の種子は、白に近いココナッツミルクやkumbalangaの中で視覚的なアクセントにもなる。
Kerala Tourismでは、OlanをSadyaを代表する料理のひとつとして紹介し、伝統的なレシピにcooked Van Payarを明記している。

Erissery

എരിശ്ശേരി(エリッセリ、Erissery、Pumpkin and Red Cowpea Curry)

野菜、Cowpea、ココナッツを使って作る、ケーララ州の伝統的な濃厚料理。

Kerala Tourismの公式レシピではred oriental beansが使われ、カボチャ、バナナ、elephant-foot yamなどと一緒に煮る。その後、ココナッツ、クミン、ニンニク、香辛料をすりつぶしたペーストを加え、最後に炒ったココナッツ、マスタードシード、赤唐辛子、カレーリーフなどで仕上げる。

特に有名なのがMathanga Erisseryで、甘みのあるカボチャとVanpayarを組み合わせる。

ErisseryはSadyaを構成する代表的な料理のひとつで、現在でもOnam、Vishu、そのほかの祝いの食事で供されている。

Vanpayar Thoran

വൻപയർ തോരൻ(ヴァンパヤル・トーラン、Vanpayar Thoran、Red Cowpea with Coconut)

茹でたVanpayarとすりおろしたココナッツを使う、ケーララ州の日常的な家庭料理。

一般的にはココナッツ、カレーリーフ、マスタードシード、唐辛子、その他の香味材料を加えて調理する。

汁気の多いカレーとは異なり、Thoranは比較的水分の少ない仕上がりで、通常はご飯の副菜として供される。

Kerala TourismもVanpayar Thoranを地域料理のひとつとして紹介しており、現在のケーララ州の食文化の中でも受け継がれている料理である。

Vanpayar Mezhukkupuratti / Ularthiyathu

വൻപയർ മെഴുക്കുപുരട്ടി(ヴァンパヤル・メジュックプラッティ、Vanpayar Mezhukkupuratti、Kerala-style Sautéed Red Cowpeas)

ケーララ州を代表する家庭料理のひとつ。

あらかじめ茹でたVanpayarを、少量のココナッツオイルとともに、エシャロット、ニンニク、カレーリーフ、香辛料などで炒める、または軽く煮詰めて仕上げる。

Thoranとは異なり、通常は大量のすりおろしココナッツを必要としない。

ご飯やkanjiなどと一緒に、日常の家庭料理として食べられる。

祝祭料理

Vanpayarは、OlanやErisseryを通じて、ケーララ州の祝祭的な菜食料理でも特に重要な存在となっている。

Onasadyaは多数の料理から構成され、それぞれの料理が異なる味、食感、役割を持つ。Kerala TourismでもOlanは主要な構成料理のひとつとして紹介され、Red cowpeas、カボチャまたは冬瓜、ココナッツミルクを使った穏やかな料理として説明されている。

そのため、Vanpayarは単なる日常的なたんぱく源ではない。

ケーララ州では、普段の家庭料理と、最も象徴的な祝祭料理の両方に属する食材である。

Vanpayarは、淡色系のCowpeaと比べると、ややはっきりとした土のような風味と、ナッツを思わせるコクを持つ。

十分に加熱すると内部は柔らかくクリーミーになるが、種子全体としてはある程度しっかりした食感と種皮を保つことができる。

そのため、濃厚なカレーだけでなく、比較的水分の少ないThoranやMezhukkupurattiのような料理にも適している。

最終的な柔らかさは、品種、乾燥豆の収穫後の経過期間、浸水時間などによって異なる。

Vanpayarの種皮は、赤褐色から濃い赤褐色まで幅広い色合いを持つ。

赤色は主に種皮に現れ、Cowpeaにおける遺伝的に制御された品種特性のひとつである。

近年の研究では、赤色系種子の発色には、フラボノイド代謝やシアニジン生合成経路に関わる化合物が関与していることが示されている。一方で、実際の色素組成や含有量は品種によって大きく異なる。

そのため、種皮が赤いという外見だけを根拠に、すべてのRed cowpeaが同じ量や種類のアントシアニンを含むと考えるのは適切ではない。

乾燥Vanpayarは、調理前に異物や傷んだ豆を取り除き、よく洗う。

事前に水に浸すことで、加熱時間を短縮し、豆全体をより均一に柔らかくしやすくなる。

多くの家庭料理では、浸水後に柔らかくなるまで茹でるが、完全に煮崩れさせないようにする。特に、その後さらにErissery、Olan、Mezhukkupurattiなどで加熱する場合は、豆の形をある程度残しておくことが重要である。

長時間浸水した場合は、浸水に使った水を捨て、新しい水に替えて調理するのが望ましい。

ほかのgrain cowpeaと同様に、Vanpayarは植物性たんぱく質、複合炭水化物、食物繊維を豊富に含む。

インドの食品成分表では、成熟した有色Cowpeaに近いカテゴリーであるbrown cowpeaについて、乾燥豆100gあたり約20.4gのたんぱく質が示されており、脂質は比較的少ない。

ただし、Red cowpea / Vanpayarは単一の厳密な品種を指す名称ではないため、正確な栄養成分値は品種や遺伝系統によって異なる。

その違いを示す例として、Kerala Agricultural Universityが育成した新しい品種KAU Apurvaがある。この品種は濃い赤褐色の種子を持ち、KAUでは、たんぱく質含有量約24.9%、高い消化性、比較的低いタンニン含有量が報告されている。

ただし、これらの数値はKAU Apurvaという特定品種の値であり、すべてのVanpayarにそのまま当てはめることはできない。

ほかの乾燥Cowpeaと同様に、Vanpayarは食べる前に十分に加熱する必要がある。

生の完熟種子には、フィチン酸、消化酵素阻害物質など、豆類に一般的に含まれる反栄養成分が存在する。

事前の浸水と、その後の十分な加熱調理によって、こうした成分の一部を減らすことができ、消化もしやすくなる。

乾燥Vanpayarは、生のまま、または加熱が不十分な状態での摂取には適していない。

乾燥Vanpayarは、密閉容器に入れ、涼しく乾燥した場所で保存する。

湿度が高い環境では、品質劣化や害虫被害のリスクが高くなる。また、高温条件で長期間保存すると、加熱しても豆が柔らかくなりにくくなることがある。

Kerala Agricultural Universityでは、乾燥Cowpeaの代表的な貯蔵害虫のひとつであるpulse beetleによる被害と、その防除についても研究が行われている。

赤色系のVanpayarは、単なる古い伝統食材ではない。ケーララ州では現在も、赤色種子を持つgrain cowpeaの育種が続けられている。

2024年、Kerala Agricultural Universityは**KAU Apurva(PTB CP-4 / PGCP-63)**を発表した。

これは、ケーララ州の栽培条件に適応するよう育成されたgrain cowpeaで、大粒の濃い赤褐色の種子を持つ。

KAUによると、潜在収量は約1.8~2.1 t/ha、たんぱく質含有量は**24.9%**で、消化性が高く、dry root rotにも耐性を持つ。

また、ココナッツやarecanutと組み合わせた混作体系での栽培にも適している。

Vanpayarは、ケーララ州の食文化を特徴づける食材のひとつである。Kerala Tourismの公式レシピでは、Van Payarを単に「beans」とせず、Red oriental beansと明記しており、使用されるCowpeaのタイプを区別している。

赤色系Cowpeaは地域の嗜好に深く根付いており、Kerala Agricultural Universityの農業研究でも、赤色種子のCowpeaに対する消費者の明確な選好が記録されている。豆類では、種皮の色が単なる植物学的特徴ではなく、市場価値や商品選択に直接関わる特徴となっている好例である。

Vanpayarは、ケーララ州の食文化の異なる二つの側面をつないでいる。日常の家庭料理ではVanpayar Mezhukkupurattiのような素朴な料理に使われる一方、祝祭料理ではOnasadyaを構成するOlanやErisseryにも登場する。

赤い種皮を持つからといって、Vanpayarがkidney beanやadzuki beanに特別近いわけではない。植物学的には、ほかのCowpeaと同じVigna unguiculataに属する。赤色は、この非常に多様な種の中に見られる特徴のひとつにすぎない。

ケーララ州では現在も、こうした有色のgrain cowpeaを対象とした育種が続けられている。2024年に発表されたKAU Apurvaも、特徴的な濃い赤褐色の種子を持つ。つまり、伝統的に好まれてきた赤色系の外観は、白色系の汎用品種に置き換えられて消えていくのではなく、現代の新品種にも受け継がれている。

Kerala Agricultural University — Package of Practices: Cowpea.
Kerala Agricultural University: Cowpea

Kerala Agricultural University — Varieties Released.
KAU: Varieties Released

Kerala Tourism: Olan

Kerala Tourism: Erissery

Kerala Tourism: Onasadya

日本豆類協会:豆の子実(乾燥豆)

Horticulturae — Identification of Candidate Genes Controlling Red Seed Coat Color in Cowpea.
Horticulturae: Red Seed Coat Color in Cowpea

PubMed — Anthocyanins and flavonols in differently coloured cowpea seeds.
PubMed: Flavonoids in Cowpea Seed Colours