小豆粉 / adzuki bean flour

🇯🇵 日本語名: 小豆粉(あずきこ / azukiko)
別名: 小豆全粒粉(あずきぜんりゅうふん)— 小豆を丸ごと挽いた全粒粉
🇬🇧 英語名: adzuki bean flour, azuki bean flour, adzuki flour
韓国語: 팥가루(pat-garu)
中国語: 赤小豆粉(chìxiǎodòu fěn)

小豆粉とは、小豆(Vigna angularis)の乾燥種子を粉砕して作られる粉です。
日本の専門文献では、「小豆粉」は一般に、乾燥した小豆、またはあらかじめ加熱などの処理を施した小豆を粉砕して得られる粉末を指します。種皮を含めて小豆を丸ごと製粉した全粒タイプも含まれます。

小豆粉は、乾燥あん、小豆でん粉、または小豆以外の赤色系豆類から作られた粉末とは異なる食品です。

この記事は現在、一部未完成のため、内容を随時追加・更新しています。

小豆は東アジアの伝統的な食用作物の一つで、特に日本、中国、韓国で広く利用されています。
ただし、乾燥した小豆を丸ごと粉砕して作る小豆粉そのものは、小豆を粒のまま食べたり、餡に加工したりする伝統に比べると、比較的新しい利用形態です。

日本

現在、小豆粉の利用が最も発達している地域の一つが日本です。特に北海道は、日本国内における小豆の主要産地として知られています。

小豆粉は主に以下の食品に使用されています。

  • パン
  • スポンジケーキ
  • ケーキ
  • クッキー
  • ロールケーキ
  • その他の焼き菓子
  • 製菓・製パン用ミックス粉
  • 現代的な菓子製品

北海道立総合研究機構(HRO)では、製パンおよび製菓への利用を目的として、小豆を微粉化する工業的な製粉技術が開発されています。研究では、パン、クッキー、スポンジケーキなどへの応用が検討され、その後、開発された小豆粉を利用した製品が複数の日本企業によって商品化されました。

中国

中国では、小豆は古くから豆そのものとして食べられるほか、粥、甘味料理、餡などにも利用されてきました。

現代の食品産業では、Vigna angularis を製粉して小豆粉を製造し、小麦粉などの穀類粉と混合して、パン、焼き菓子、その他の小麦粉製品に利用する例もあります。

韓国

韓国料理でも小豆は広く利用されていますが、乾燥した小豆を粉砕して作る粉と、加熱した小豆をつぶしたもの、または伝統的な 팥고물(pat-gomul) などとは区別する必要があります。

韓国語の 팥가루(pat-garu) という名称は、小豆から作られるさまざまな粉末状製品を指して使われる場合があります。そのため、個々の製品を説明する際には、原料の処理方法や製造工程を確認することが重要です。

小豆は東アジアで古くから利用されてきた食材ですが、乾燥した小豆を丸ごと粉砕して作る全粒タイプの小豆粉は、日本・韓国・中国の伝統料理における主要な粉類の一つではありません。

これらの地域の伝統料理では、小豆は主に以下の形で利用されてきました。

  • 小豆を粒のまま使用する
  • 煮た小豆をつぶして使用する
  • 煮た小豆を裏ごしして使用する
  • 餡に加工する
  • 砂糖で甘く煮た小豆として使用する

そのため、羊羹、饅頭、おはぎ、赤飯、팥죽、팥시루떡 などの伝統料理を、そのまま「小豆粉を使用する料理」として分類することはできません。

小豆を使用していることと、小豆粉を使用していることは同じではないためです。

現在の全粒タイプの小豆粉は、伝統的な小豆そのものや餡とは異なる形で小豆を活用するために開発された比較的新しい加工方法であり、特にパンや焼き菓子などの製パン・製菓分野で利用が広がっています。

日本の研究でも、小豆粉は小豆の新たな利用方法の一つとして位置づけられています。

生の全粒小豆粉

生小豆粉 / 小豆全粒粉

乾燥した生の小豆を、種皮ごと粉砕して作る小豆粉です。

「小豆粉」という名称の最も基本的な形にあたり、小豆本来の色、香り、そして種皮に含まれる成分を保持しています。日本の研究でも、現在の小豆粉は、生の小豆をそのまま粉砕して作る粉として扱われることがあります。

生の小豆を原料としているため、通常は料理や製菓・製パンの工程で十分に加熱して使用します。

焙煎小豆粉

乾燥した小豆を先に焙煎し、その後に粉砕して作る小豆粉です。

焙煎によって香ばしさが強まり、生の豆粉に特有の青臭さや豆臭さが抑えられます。そのため、香りを重視する焼き菓子やその他の加工食品にも利用しやすくなります。

日本の研究では、乾燥小豆をそのまま焙煎してから粉砕する方法と、あらかじめ加熱処理を行った後に焙煎・粉砕する方法が比較されています。

加熱処理小豆粉

小豆をあらかじめ加熱し、その後に乾燥または焙煎してから粉砕して作る小豆粉です。

加熱によって小豆の細胞構造やでん粉の性質が変化し、香りや食感、吸水性など、最終的な粉の加工特性にも影響を与えます。

工業用微粉砕小豆粉

より均一で細かな小豆粉を製造するためには、多段階の粉砕工程が用いられることがあります。

北海道立総合研究機構(HRO)の技術では、まず小豆をピンミルで粉砕し、約100 μm以上の比較的大きな種皮片を分離します。これらをさらにボールミルで細かく粉砕し、再び全体の粉に戻します。

この方法により、種皮がより均一に分散した全粒小豆粉となり、小豆特有の色を保ちながら、より滑らかな食感の製品を作ることができます。

小豆粉には、一般家庭向けの「粗挽き」「中挽き」「細挽き」のような統一された分類はありません。

食品加工の分野では、粉の細かさは主に粒子径をマイクロメートル(μm)で表します。

北海道立総合研究機構(HRO)の研究の一例では、小豆を粒子径中央値 D50 約65 μmまで粉砕した後、以下の目開きのふるいを用いて粒度を分けています。

  • 75 μm
  • 91 μm
  • 104 μm
  • 131 μm

粒子の大きさは、吸水性、生地の構造、なめらかさ、焼き上がった製品の食感に影響します。

特に種皮の粒子が細かいほど、口当たりの粗さが感じにくくなり、生地の中にもより均一に分散しやすくなります。

小豆粉には、小豆特有のやさしい豆の香りがあります。加熱すると、ほのかな甘みを感じさせる香りに加え、ナッツのような香ばしさや、やや土を思わせる風味が現れます。

小豆を種皮ごと粉砕した全粒タイプの小豆粉は、落ち着いた赤褐色、灰色がかった淡い赤色、または紫みを帯びた褐色をしています。この色合いは、主に小豆の種皮に由来します。

焙煎すると色はより濃くなり、香ばしさも強くなります。

また、小豆は加熱方法によって揮発性香気成分の組成が大きく変化するため、加熱・焙煎の方法によって小豆粉の香りや風味にも違いが生じます。

小豆粉にはグルテンが含まれていないため、小麦粉のように、それだけで弾力のあるパン生地の構造を形成することはできません。

小麦粉に小豆粉を配合すると、一般的に次のような変化が見られます。

  • 吸水性が高くなる
  • 生地がやや重く、密度の高い状態になる
  • 小豆粉の配合量が増えるほど、パンの体積が小さくなる
  • クラム(内相)がより密になり、弾力が低下する
  • 小豆特有の色と香りが強くなる

日本で行われた製パン研究では、小麦粉の一部を約 5〜30% の小豆粉に置き換える場合、小豆粉の配合量が増えるにつれて加水量を増やす必要があることが示されています。

また、同じ量の小豆粉を使用する場合でも、小豆粉の一部をあらかじめ熱湯で糊化させてから生地に加えることで、パンの体積や食感が改善されることがあります。

別の研究では、小豆粉を30%まで配合したパンでも官能評価上は許容可能な評価が得られた一方、小豆粉の配合量が増えるほど、パンの密度が高くなる傾向が確認されています。

全粒タイプの小豆粉には、種子の内部だけでなく、種皮も含まれています。

北海道立総合研究機構(Hokkaido Research Organization)のデータによると、研究に使用された品種 エリモショウズ の小豆粉100 g当たりの成分は、おおよそ以下の通りです。

  • たんぱく質:21.3 g
  • 食物繊維:10.0 g
  • 脂質:0.7 g
  • 炭水化物:53.4 g

実際の成分値は、小豆の品種、栽培条件、水分量、製粉方法などによって異なります。

小豆はでん粉を多く含む豆類で、そのでん粉は主に、豆類に特徴的な C型結晶性でん粉(C-type crystalline starch) に分類されます。

また、Vigna angularis では、でん粉、たんぱく質、ポリフェノール類の含有量や組成が品種によって大きく異なることが報告されています。

日本における小豆粉の開発は、餡の代用品を作ることを目的としたものではなく、小豆の新しい利用方法を開拓する取り組みとして進められました。

北海道の研究機関では、小豆粉を主にパンや洋菓子などの製パン・製菓用原料として活用することを目的に、製粉技術や加工特性の研究が行われてきました。

製粉工程で大きな課題となったのが、小豆の種皮です。通常の粉砕では、種子内部に比べて種皮の大きな破片が細かくなりにくいため、粗い種皮片が残りやすくなります。

そこで、まず小豆全体を粉砕し、比較的大きな種皮の粒子を分離した後、それらを再び細かく粉砕して全体の粉に戻す二段階の製粉方法が開発されました。

この方法によって、小豆をほぼ丸ごと利用することができます。

なめらかな餡を作る場合には種皮を取り除くことがありますが、全粒タイプの小豆粉では種皮も最終製品に残るため、小豆全体をより無駄なく利用できます。

また、通常の調理では煮えにくくなったり、加熱による軟化が不均一になったりする長期保存の小豆でも、製粉原料として利用できる可能性があります。

北海道教育大学の研究では、5年間保存した小豆について、適切な加熱処理と粉砕を行った場合、新しい収穫年の小豆から作った粉と比較して、総合的な官能評価に大きな低下は見られませんでした。

さらに、粉砕前の加熱方法を変えることで、小豆粉の香りをある程度調整することもできます。

Vigna angularis を対象とした研究では、煮る、炒る、焙煎するといった加熱方法によって香気成分の組成が異なることが確認されています。

そのため、小豆粉では粉砕方法だけでなく、粉砕前にどのような加熱処理を行ったかも、香りや風味を左右する重要な要素となります。